どんと来い!
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DATE: 2006/05/16(火)   CATEGORY:
マナーとバターは似て非なるもの。
「この風景は一生変わらないのだろうな」
僕は駅のホームでそう呟いていた。
恐らく、これから先、どんなに社会が、世界が進化を遂げてもこの街は、この風景は「変化」という言葉とは程遠いところにある気がした。
それはいいことなのかもしれないが、僕が望んでいるものではないことは明白だった。
すると駅員のアナウンスと共に電車が来る。緑とも青ともつかない微妙な色合いが僕のこれから先の人生を表しているようで少々腹立たしくもあったが、今の僕は乗る以外に道はない。

空いていた椅子に座る。
4人で向かい合うようになっている座席配置だった。とかく乗り物に弱い僕は進行方向と同じ向きに腰を下ろす。
そして車掌と思しき男性のアナウンスが耳に触れる。

「・・・優先席付近では携帯電話の電源はお切りください。またそれ以外の方も電源を切るかマナーモードにして通話はご遠慮ください。」

携帯電話の使用を控えるようにといった類のものだ。
この言葉にひとつの疑問を覚えた。
「通話はご遠慮ください」
確かに、車内で携帯で通話している人を見ることはあまり心地のいいものではない。
それは会話の内容が解らなかったり、やたらめったら大きな声で、さも携帯電話の向こうにいる相手に声を直接届けようとしているのではないかと耳を疑うほどのものだったりする。
しかし、ふと僕の前に座っている中年の男性二人の声が耳についた。隣りあわせで座っているというのに、大声でしゃべっている。
顔を見る限りアルコールが入っているようだったので、ボリューム調整がうまくいってないのかもしれないなとは思ったがそれにしても常識以上だった。
どう考えても車両全ての人に自分達の会話を聞いて欲しい。こんなに崇高なことを話しているんだよ、僕達は。君達も僕らの説法を聞きなさい。と演説でも始めんばかりのものだ。しかし、内容は何のことはない、他愛もない世間話。

何故、車掌はこの大声の男性二人に注意を促さないのだろうか。携帯電話で会話している人でも
「電車の中だから」
と少量のボリュームで話し、早々に話を切り上げる人たちもいる。そういう人たちのほうがよほど僕は好感が持てる。しかし、隣の友人と話している人で
「電車の中だから静かにしよう」
という人々はあまり目にしない。皆が演説を始めようかという大きさで話しており、どれも内容が陳腐だった。

「世界には禁止されていることよりももっと目を向けなければならない事項がある」

とワーグレイが言っていたが、このとき、僕は初めて彼の言葉に共感を覚えた。携帯電話の会話なんてたとえボリュームが大きくともせいぜい数分程度の苦痛でしかない。しかし、今、目の前にいる彼らから繰り出される「世間話」というジャブは僕を長い時間圧倒した。その言葉のパンチは風呂場のシャワーのように僕に降りかかってくるし、逃げ場はない。いや、シャワーは蛇口をひねればまだ止まるだけマシだ。

防戦一方だったこの試合にも終結の時が訪れる。彼らの目的地であろう駅に着き、彼らは電車を後にした。電車には「落ち着き」という名の「沈黙」が訪れる。得てして「沈黙」とは、あまり心地のいいものではないのかもしれないが、この時の車両内の沈黙は別物だった。電車のガタンゴトンという音がまるで今の状況を祝福している拍手にも聞こえた。
「平和」というものを手にした僕はふと外を見る。先ほどまでつまらなく見えていた景色がとても穏やかに感じられる。すると誤って咲いたのだろう。ほとんど葉っぱになってしまってはいるが一本だけまだ桜が残っていた。それはまるで社会に取り残された僕のようだ。

「お前も頑張れよ」

僕は自分に言い聞かせるように呟いた。
先ほどまで拍手に聞こえた電車の音が僕を激励する声に聞こえた。






今日の一言。
「要するに今日の言いたいことは、携帯電話の通話はダメで、大声での会話は許されるのかっつーこと。それをちょいと小説風にお送りしてみましたとさ。」
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COMMENT

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Ling | URL | 2006/05/16(火) 22:17 [EDIT]
私の相方さんがよく総合図書館で勉強をするのですが、「携帯電話は厳しく取り締まるくせに、子どもがうるさいのには(職員どもは)全く対応しない。」と似たようなことで憤慨してらっしゃいました。
困ったものですね。

タスマニア動物園 | URL | 2006/05/17(水) 00:19 [EDIT]
そうなんだよね、なんか木を見て森を見ずというかさ。
まぁペースメーカーとかの問題もあるだろうから解るんだけどさ・・・なんちゅーか、やるなら徹底的にやればいいのにね。

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